「どうして見捨てたのですか なぜ犬たちを連れて帰ってくれなかったのですか」
このキャッチコピーは映画『南極物語』で、子供心にとても強烈で胸がえぐられるほどの衝撃を受けたことを憶えています。
昭和30年代に敗戦からの復興を進めていた日本は、国際地球観測年による南極大陸観測の参加を申し出ましたが、敗戦国であることを理由に接岸不可能とされていたポイント(観測場所)を割当てられ、悪戦苦闘する観測隊たちの物語です。
昭和基地については小学生の頃に国語の教科書だったか、社会?の教科書で南極大陸について少し触れていた記憶がありましたが、おぼろげで曖昧な記憶でした。
犬ぞりに使う目的で南極へ連れて行ったカラフト犬ですが、観測の滞在期間を経て越冬不成立の判断をした日本へ戻る隊員たちの船には乗せてもらえず、その場に置き去りにされてしまった犬たち。子供心に随分非道なことをするものだと許せませんでした。
1年後の第三次越冬隊が昭和基地に到着し、置き去りにした15頭のうちタロとジロの2頭が生き残っているのが確認されました。この逸話は高倉健さん主演で映画化され大ヒットとなります。
私は子供の頃から長い間、生存していた2匹をまた南極へ置いて、隊員たちだけが日本へ戻ったものだと勘違いをしていたというか、そう思い込んでいたようです。
2011年の秋、TBS系「日曜劇場」で放映されたキムタクさん主演の『南極大陸』は史実を確認するきっかけとなったドラマでした。
そして今回このお題について書くにあたり、漁船から自衛隊船艦、そして戦後、観測船として数奇な運命を辿ることになる「宗谷」のアニメ映画『宗谷物語』と高倉健さん主演の映画『南極物語』を観ました。
映画『南極物語』のキャッチコピーは冒頭でもご紹介したとおり
「どうして見捨てたのですか なぜ犬たちを連れて帰ってくれなかったのですか」
このコトバだけが私の記憶の片隅に残っていたのでしょう。映画もドラマもアニメも史実に創作を加えて作られています。
実際はジロは昭和基地で5歳で病死して亡骸を連れて帰った、そしてタロは生きて日本に帰ってくることができたのですね。ちょっと恥ずかしいなと思いましたが、正確に事実を知ることができてよかったです。
◆覚え書き・2匹の剥製◆
ジロは1960年の7月に昭和基地で5歳で病死。
タロは第四次越冬隊とともに1961年5月、約4年半ぶりに日本に帰国しているのですね。北大の植物園で1070年8月に老衰で死亡(14歳7か月)
北大植物園にはタロの剥製が、南極で死亡したジロは東京の国立科学博物館に剥製で展示されています。
また、名古屋市港区のガーデンふ頭には「タロとジロ」の像があります。
◆南極は北極よりも寒い◆
南極大陸は地球上で最も寒い場所で2010年の氷原で地表面温度-93.2℃の記録があるそうです。ドライアイスの昇華点よりも低く、アンモニアの融点(-77℃)よりも低い。
1957年1月29日は昭和基地開設記念日
昭和基地へは南極観測船の母港・横須賀から直線で14000kmの距離にあります。
標高がほとんど海抜3000m以上。 槍ヶ岳や北岳のような感じ?
※ 画像はamazonさんからお借りしています。