これは、私が結婚する前のお話で、本当に今でも背筋がゾクッとする奇妙な体験談です。
あれは入社してから職場で仲良くなった同期の友人の「のんちゃん」(仮名)とGWにどこか旅行をしようと社員食堂で相談していました。
「岡山県の倉敷を観光してアイビースクエアに泊まりたいねぇ。お洒落だよねー。」
「うん。行こう、行こう。せっかくの長いお休みだし。人力車にも乗りたい!」
GW1週間前では予約がとれず、あちこち探してやっと見つけたリーズナブルなお宿。のんちゃんも私も車の免許を持っていなかったので交通手段は新幹線とバスとタクシーです。
倉敷の観光を楽しんだ後、バスで宿泊先へ向かいました。チェックインのときにスタッフの方から「女性の一人旅の人と相部屋をお願いしますね」と説明され、夕食を済ませてお部屋へ入りました。二段ベッドが向かい合わせに2つ。6名までOKのドミトリー。私たちはどちらも下段を使うことにして荷物を置き、相部屋になる女性を待ちました。入浴してお部屋に戻ると、ベッドの上の段に誰か一人すでに寝ているのが見えました。22時になろうかという時間でしたので、声はかけずに私たちもベッドにもぐりこみました。
その日、日中の倉敷は快晴でしたが夜になると雨と風が強くなって荒れた天気になり、宿泊施設の部屋の窓ガラスが風雨でガタガタ激しく揺れています。
疲れていたのでいつのまにか眠りについたようでした。ただ、とても奇妙な夢を見たのです。
それはお部屋の窓の向こうにびしょ濡れの20代の女性が立っていて、窓ガラスを必死に叩いて「お願い、中へ入れてー」と叫んでいました。
私は思わず飛び起きて、窓を開けようとしますが、よく考えたら二階のお部屋なので外に人が立っているはずがないのです。
「眠れないの?」とのんちゃんが声をかけてくれました。
「うん。なんだか変な夢を見たみたい」
「私もへんな夢見たの。どんな夢?」
「うん。それが・・・明日の朝になったら話すわね」
そして夜が明けました。ベッドから起き上がると二段ベッドの上で寝ていたはずの相部屋の人はすでに出発されたようで、荷物も何もなく、掛布団がたたんでありました。
客室に私たち2人であることを確認し、のんちゃんが「実はゆうべ、私も怖い夢を見たの」と切り出しました。
私が先に夢の話を説明すると、のんちゃんはポロポロと涙をこぼして頷き
「一緒よ。私もその夢見た…窓の外で女の人が叫んでたわよね。」
「え?まさか同じ夢を見たの?髪の長い女の人だった・・・」
「あれって夢だったのかしら。だれか窓の外に本当にいたんじゃないの?」
「うーーん。でも、ここは二階だから・・・そんなはずはないでしょ」
7時になり朝食をとりに階下の食堂へ行ってスタッフに「私たちと相部屋になった人はもうチェックアウトされたのですか」と尋ねました。
気ままな一人旅なら夜遅くや朝早く行動することは、珍しいことではありません。
スタッフは怪訝な顔をして「ゆうべ遅くキャンセルの連絡が入り、○○号室はあなた方ふたりだけですよ」と。
「え…?ほんまですかぁ。。。」
同室のベッドの上段にいた人は誰だったのでしょう。ふたりとも同じ夢を見るなんて…
今でも思い出すと背筋がゾクッとします。
結局タイミングを逃してしまい、アイビースクエアにはまだ一度も泊まりに行けていません。私が20代の頃は、ツタの絡まるレンガの建物が女性に大人気だったのです。
※そのリーズナブルな宿泊施設は現在も営業されていますので、あえて宿名は未公開とさせていただきました。
2泊3日の旅行は入社して初めてのお給料で、初めてのGW休暇、2泊目に泊まったのは郊外の大きなホテルでした。キーを受け取りエレベーターでお部屋の階へ。ドアを開けてすぐ左に異様な雰囲気のクローゼット。
なんというか、その、外国製の豪華な棺を立てたような感じで。さすがに私もギョッとしたのですが、(あ、比喩が失礼すぎる)。。。のんちゃんが怖がって「お願い。開けてみてー」というので恐る恐る扉を開けるとポールにハンガーがいくつかかかっていて内心ほっとしたのを覚えています。
某駅前からタクシーを利用したわけですが、ホテルまでは15分。運転手さんの言葉が妙に気になった・・・!
「こんなとこへ泊るの?おたくらみたいなお嬢さん達ならアイビースクエアでしょう」
む?それ、どういう意味ですか。
確かにGWだというのに他のお客様とすれ違わなかった…!ロビーもエレベーターも。変?変ですよね?「素泊まりなら承ります」ということで。
※このホテルは今思うとロココ調のかなり大きなクラシカルホテルでしたが、現在はリニューアルされているようで楽天トラベルで確認したところ、お部屋はアンティーク調からモダンでスタイリッシュな仕様になっています。こちらのホテルも営業されていますのでホテル名は明記しません。ご了承ください。
最後に
この奇妙な体験談をネット上に公表(記事の投稿)することを許可してくれた「のんちゃん」に感謝します。彼女はスマホは持っていますがSNSには慎重派で、友人や家族とLINEくらいしかしません。はてな会員登録せずに記事を読むことは可能なのでそれを伝えましたが「もう、思い出したくない」とメールの返信があったことを記しておきます。